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横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 75, 2015/03
本研究では、異なる線量の線あるいは炭素イオンビームによって誘発されるバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と、一酸化窒素(NO)ラジカルの役割について調べた。ヒト正常繊維芽細胞を実験に用い、線あるいは炭素イオンを照射した細胞と非照射細胞を多孔性メンブレンの上側と下側で24時間培養した。培養後、非照射細胞の生存率は照射細胞に曝露した線量の増加とともに低下し、0.5Gy以上では下げ止まった。このことから、バイスタンダー効果は照射細胞に曝露した放射線の線量に依存するが、線質には依存しないことが明らかになった。さらに、NOラジカルの特異的消去剤であるc-PTIOをあらかじめ培養液に加えておくと、非照射細胞の生存率の低下が抑制された。以上の結果から、線や重イオンビームによって誘発されるバイスタンダー効果にNOラジカルが重要な役割を果たすことが示された。
Autsavapromporn, N.*; Plante, I.*; Liu, C.*; 小西 輝昭*; 宇佐美 徳子*; 舟山 知夫; Azzam, E.*; 村上 健*; 鈴木 雅雄*
International Journal of Radiation Biology, 91(1), p.62 - 70, 2015/01
被引用回数:31 パーセンタイル:93.37(Biology)放射線がん治療の実施にあたり、放射線誘発バイスタンダー効果が治療域周辺の正常細胞に健康影響リスクを及ぼすかどうかは重要な問題である。そこで、本研究では、バイスタンダー効果が誘導された細胞の子孫細胞における有害影響の伝播に、照射した放射線の線質と、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構が果たす役割について解析を行った。実験では、コンフルエントに培養したヒト正常線維芽細胞試料に対し、LETの異なるマイクロビームで、その全体の0.0360.4%の細胞のみに照射を行い、バイスタンダー効果を誘導した。この細胞を照射後20世代にわたって培養し回収した後に、微小核形成、遺伝子への変異誘発、及びタンパク質酸化を指標に解析を行った。その結果、バイスタンダー細胞の子孫細胞における有害影響の伝播は、照射した放射線のLETによって違いがあることが明らかになった。
貴家 恒男; 工藤 久明; 瀬口 忠男
Polymer, 40, p.5095 - 5102, 1999/00
被引用回数:25 パーセンタイル:68.2(Polymer Science)高エネルギーイオンを高分子フィルムに均一に大面積照射するチェンバーを設計・製作した。10cm10cmの線量計フィルムを用いて線量分布を計測したところ、きわめて均一に照射されていることが明らかになった。ポリエチレン(PE)、芳香族ポリサルホンPSF及びPESに対し10MeV陽子、20MeV He、220MeV Cイオンを照射した試料の引張り試験を行い、2MeV電子線照射の結果と比較した。脂肪族高分子であるPEのイオン照射による力学特性変化は電子線照射のそれと変わらなかったが、PES及びPSFでは線量当たりの機械特性変化が少なくなることが明らかとなった。照射温度による特性変化等を考察し、芳香族高分子では線質効果が現れやすいと結論した。
Autsavapromporn, N.*; Plante, I.*; Liu, C.*; 小西 輝明*; 宇佐美 徳子*; 舟山 知夫; Azzam, E.*; 村上 健*; 鈴木 雅雄*
no journal, ,
ヒト皮膚由来正常線維芽細胞NG1RGB株へLETの異なるマイクロビームを照射し、その子孫細胞における影響を解析した。コンフルエントに培養したNG1RGB細胞集団の0.036-0.4%にマイクロビームで1箇所あたり0.4Gy相当の照射を行い、その後、20世代継代した後に微小核形成、突然変異誘発、およびタンパク質の酸化を指標とした解析を実施した。X線とプロトンビームで照射した細胞の子孫細胞では、酸化ストレスの昂進と微小核形成および突然変異頻度の上昇が認められた。その一方、炭素イオンビームで照射した細胞の子孫細胞では、同様な影響は認められなかった。また、細胞間ギャップ結合の阻害を行うことで、プロトンでは、子孫細胞における照射効果が緩和された。
永石 隆二; 伊藤 辰也; DiPrete, D.*; Fellinger, A.*
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1F)事故から10年以上経過した燃料デブリの保管ではアルファ線による水の分解の重要性が増しているが、アルファ放出核種が固体材料中に存在していると、核種から放出したアルファ線は材料中で減速して、材料から逃れたアルファ線エネルギーはより低く連続となる。このエネルギースペクトルは材料の種類やサイズによって異なり、これは水の分解G値のパターンや大きさに影響を及ぼすため、アルファ線分解を研究するには、このスペクトルを測定・評価する必要がある。本研究では、Pu-239を含む固体材料の粉末を用いて、この粉末からのアルファ線のスペクトルを測定した。そのスペクトルからアルファ線の線エネルギー付与(LET)を評価して、これを核種が水中の溶存種である場合の値と比較した。